取材は難しい。
「時間をオーバーしてしまった…」「あれ聞き忘れた!」などなど…
毎回、反省ばかり…
あれこれ失敗しながらも、経験を積んでいくことが取材では大切なんだろうと思います。
しかし、取材経験が豊富な人なら、きっと何か自分なりの「取材のコツ」を持っているはず…!
教えてほしい…!
そこで、今回は新聞記者として現場への取材に飛び回っていた過去を持つ我謝かおりさんに、取材やインタビューのコツを伺いました。
我謝かおり
取材とインタビューが大好物の沖縄在住のフリーライター。
生まれも育ちも沖縄で海は泳ぐ場所ではなく眺めるものだと思っているうちなーんちゅ。
家族は夫と娘。趣味は西洋占星術。
後悔したくなくて応募した新聞社
ーーー我謝さんは元新聞記者とのことですが、新聞記者になろうと思った理由はなんですか?
新聞記者に限らず、マスコミに興味や憧れがあったからです。中学生の頃から、ニュースや新聞をよく見ていたんですよ。
ちょうど私が大学生だった1990年代後半の沖縄って、基地問題が大きく取り上げられていた時期なんですね。そのニュースを見ているうちに、歴史的な瞬間に立ち会いたい、現場に行きたいと思う気持ちが強くなったんです。
ーーーそれで、新聞社に応募したんですね。
そうですね。新聞社だけではなく、テレビ局にも応募しました。
ただ、マスコミってとても優秀な人たちが集まっているところだと思っていたんです。だから、きっと受からないと思いつつ応募しました。そうしたら、地元の新聞社に受かってしまったという(笑)
後悔したくなくて応募したんですけど…受かって本当にいいんだろうかと思いました。受かると思っていなかったので、受かった後どうしようということも考えていなかったんです。
ーーー「こういう記者になるぞ!」など、特に考えていなかったということですか?
そうですね。「何を書きたい」はなかったですね。
「現場に行けたらいいな」「いろんな人の話を聞くのはおもしろいだろうな」ってうっすらとしたイメージしかありませんでした。
あとは、少しでも沖縄の役に立てればうれしいと思っていましたね。
ーーー入社後、すぐ記者になったんですか?
いいえ。入社してまず配属されたのは校閲部でした。
え、校閲部?
ーーー現場に行きたいという思いをお持ちでしたよね。最初、校閲部に配属と言われた時はどういう気持ちでしたか?
「そうなんだ~」という感じですね(笑)そもそも校閲という仕事を知らなかったので。
校閲部は、いろいろな人が書いた記事が読める部署なんですね。だから、まずは人が書いた記事を読んで勉強しろという会社の配慮だったのかなと思います。
校閲部は、新聞に掲載されるすべての記事が読める部署でもあるので。
同期入社の人たちもまずは校閲部だったので…いきなり現場よりはよかったかもしれません(笑)
たしかに、入社したてで「現場に行って取材してこい!」というのはキツいかも…
記者をするなかで感じた取材・インタビューの魅力
ーーーこれまで、さまざまな経験を経て、取材やインタビューの魅力をどのようなところに感じていますか?
思いもよらない出会いがありますし、仕事でいろいろな人に話が聞けて自分の勉強になるところですね。
自分が勉強するきっかけになって、さらに詳しい人に話が聞ける…それって実はすごくオトクなんじゃないかなと。最高ですよね(笑)
ーーー取材はとにかく楽しいと。
そうですね。もちろん、緊張はするし、失敗したらどうしようとは思います。でも、楽しい。
私、少し人見知りなんですけど、取材なら話を聞きに行くわけなので、どんどん聞けるというのも良いところですね。
わかる…!「取材」という大義名分があると安心して話を聞きにいける!
取材・インタビュー時にするべき重要なポイント
ーーー我謝さんが取材に行くときに「これはしておく」というポイントを教えてください。
まずは、事前リサーチをしっかりすることですね。ネットで検索をかけてみたり、図書館に行って新聞で調べてみたり。
もちろん、取材対象によっては情報が少ないこともあるんですが…その場合は調べられる範囲で調べて、わからなかったらしかたない。聞くしかないと思って取材に行きます。
取材する相手のことをよく知ることから、ですね!
次に、挨拶をきちんとすることですね。
現場に行ったら「よろしくお願いします」。終わったら「時間取っていただいてありがとうございました」ときちんと言うようにしています。
ーーー大事なところですね!
あとは、後日また質問するかもしれないことをを伝えますね。「あとでまた聞くかもしれないので、よろしくお願いします」と最後に伝えておくようにしています。
これは、記者時代の新人のころ、先輩に教えてもらいました。相手の連絡先をきちんと聞いて「聞き忘れたことがあったら、連絡してもいいですか?」と言っておくようにと。
そうしたら、電話しやすいですし、相手も「あとで質問されるかも」とわかっているから聞きやすいんです。「イヤです」って言われたことはないですね。
- 事前のリサーチをしっかりする
- 挨拶をきちんとする
- 後日また質問する可能性を伝えておく
取材・インタビュー時の心構え
ーーーでは、取材やインタビューのときに心がけていることはありますか?
沈黙をおそれないことですね。
インタビューは、なるべく相手に話してほしいんです。自分が話しすぎない。だから、間ができてしまうこともありますが、それは必要以上に心配しなくていいと思っています。
間をおそれない勇気…!
あとは、失敗はするものを思って準備することですね。「間違いはある」し、「失敗はする」と思っていたほうがいい。
録音機材は2つ用意する、カメラを持って行くけど携帯でも撮るなど、バックアップはしっかりおさえつつやることが大切です。
失敗はするものですよ(笑)私もカメラを忘れて取材に行って、たまたま近くにいたカメラマンに助けてもらったことがあります。
ーーー失敗はするものだと思って、しっかり対策しておくということですね。
はい。それと、忘れないようにしたいのが、自分が楽しむことです。実際楽しいので、改めて意識することはないんですが。
自分が楽しいだけではなく、取材を受けた人にも喜んでもらえる雰囲気作りをすることを意識しています。
受けた相手も「取材受けて良かったな」と思ってほしいんです。
ーーーお互いが楽しいと思える雰囲気作り…!私はそれ以前に緊張して失礼なことを言わないか不安になっちゃいます。
相手に対して、常に「ありがとうございます」って感謝の気持ちを持っていれば大丈夫ですよ!
以前「そんなことも知らないのか」って言われたことはありましたけど、知らないことをそのままにしておいたら原稿書けないので、素直に謝りましたね。
「すみません、勉強不足でした」「申し訳ありませんが、教えていただけますか?」と。
わからないことは素直に聞くべし!
それと、自分が調べたことにこだわらないようにしています。
ーーーでも、しっかり準備していくんですよね?
そうですね。調べていきますし、質問も考えます。
でも、自分が「聞こう」と思っていたことよりも「面白い」と思ったら、そちらを深掘りしていくという心構えでいます。
記事を書くのに必要な要素はおさえつつも、面白い話が出てきたら流れに乗る感じですね。
時間とかの兼ね合いがあるので難しくはあるんですけど、そのほうが記事として面白くなるんです。
だから、自分が「面白い」と思った感覚は信じるようにしていますね。
直感を大切にしているんですね!
- 沈黙をおそれない
- 失敗はするものと思って準備する
- 自分も相手も楽しいと思える雰囲気作りをする
- 相手に対して感謝の気持ちを持つ
- 自分の直感を大切にする
好きなことはやめないでおく
ーーー最後に今後の目標や目指す方向性を教えてください。
実は迷子なんです(笑)このジャンルをやりたいというのがなくて。
でも、取材やインタビューはやりたいと思っているので、チャレンジしていきたいなと思っていますね。
いろんな人に会える仕事で、なおかつ自分の勉強になる仕事ってなかなかないと思うので。
フリーランスになってから取材に行ったら、新聞記者時代に味わった取材の楽しさを思い出しました。記者時代も現場から帰ると「顔が違うね!」と言われていたくらいなんです(笑)
たしかに、取材の話をしている我謝さんはとっても生き生きしてる…!
だから、じわじわとやっていきたいですし、やめないでおきたいです。
もしかしたら、今後フリーランスではなくて、外に働きに出ることもあるかもしれませんが、取材はやめずに細く長く続けていきたい。
そのうち、気づくと「こればっかりやっている」っていう得意な分野が出てくるかもしれませんね。
ーーーありがとうございました!
編集後記
取材の楽しさをうれしそうに話してくれた我謝さん。
しかし今、家族がいて自分の体も大切にしたい我謝さんは、バリバリに現場を飛び回っていたころのようにはできない状況です。
それでも、好きな取材を続けていきたいという熱い思いが伝わってきました。
取材を始めたばかりの私には、参考になる話ばかりでした。
そして、私も我謝さんと同じく、仕事最優先にはできない状況。今後、仕事の比率を上げられるかもしれないし、仕事量を抑えなくてはいけないときもあるかもしれません。
どんな状況になろうとも、「好きなことをやめないでおく」ことを忘れないでおきたいなと思いました。
私もがんばろう…!
我謝かおりさんのTwitter:@abasan_okinawa
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