ライターが編集やディレクションの仕事をするようになると発生するのが、「ライターさんに発注する」というお仕事。
受注側の気持ちがわかるから、ライターさんに気持ちよく仕事をしてもらえるようにとがんばるものの、なんだか空回り…。(それが私)
発注側も大変…!
そこで、ライター組合(以下、ライ組)で出会った成澤綾子さんから「ライターさんへの接し方を学びたい!」と思って、インタビューをお願いしました。
綾子さんは、初心者ライター向けの勉強会を主催し、ディレクションや編集もこなす人。
インタビューを通して、関わるライターさんを愛し、ライター業界をより良くしていきたいと取り組む姿が見えてきました。
ライター組合:ライターが集まるオンラインコミュニティ
【成澤綾子さんプロフィール】
ライター/編集者/ディレクター
2019年に未経験からライターに転身し、半年後には編集者やディレクターとしても活動を開始。
主な執筆ジャンルはコピーとインタビュー。
国税庁や大手企業のリーフレット作成、企業のオウンドメディアディレクション、日本酒コミュニティの運営など、幅広い分野で活躍している。
綾子さんのライター歴
ーーー綾子さんは未経験の状態からライターになったそうですね。
そうですね。
小さい時から文章を書くことがすごく好きで、転職するタイミングでライターをやってみようと思い立ちました。
ただ、未経験なうえに特別なスキルや資格みたいなものもなくて。特殊な業界で働いた経験もないですし、仕事につながる取っかかりみたいなものが何もなかったんですね。
えっ、そうだったんだ…!
それでも「ライターの仕事はクラウドソーシングで取れる」という知識がなんとなくあったので登録してみたんですけど、箸にも棒にもかからないみたいな感じで…全然仕事が取れませんでした。
その後、ライ組内にあった「お仕事募集」に応募して、そこで初めてお仕事が取れた感じです。
ーーー「クラウドソーシングを使ったことがない」とは聞いていましたが、そういう意味だったんですね。
そうなんです。テストライティングすらさせてもらえなくて終わってたので、ずっと。
ライ組内の募集でも、最初は応募の段階でダメで。3回目くらいで初めてテストライティングに進めて採用されました。
それからなので、ライター歴はまだ2年経っていないですね。
ライター仲間と始めた初心者向け勉強会
ーーー2020年に綾子さんが主催していた初心者ライター向けの勉強会についてお聞きします。勉強会をやりたいと思ったきっかけは何だったんですか?
以前、Twitterでライター関連の炎上するツイートを見かけたのがきっかけです。
搾取されただとか、悪質案件に引っかかっただとか。
たしかにそういうツイートあった…
そういう「搾取された」のようなことが起きるのって、やっぱり「自分に自信がないから」とか、「私はこんなもんだ」と思っちゃっているのが原因のひとつだと思ったんですね。
それで、ちょっとだけ先を行っている者として、何かしてあげたいと思って。
ちょうどディレクターになって、ライターさんに対しての接し方を考えていた時期だったんですね。なので、積み始めたこの経験を活かしてライター業界のために何かできないかなと思いました。
でも、高尚な気持ちではなくて、見返してやりたい気持ちが大きかったと思います。
ライターという仕事をバカにしてる人たちに一泡吹かせたいなと。
かっこいい…
ーーー初心者向け勉強会を開催するうえで、こだわったところはどこですか?
「講師」ではなく「メンター」という言い方をしているところですね。
上から「教えてあげる」っていう気持ちでやっているわけじゃなくて。
ちょっとだけ先にいる人が手を引いてあげるとか、ちょっとだけ段差の上にいる人が手を引っ張ってあげるとかそういうイメージです。
ーーー実際やってみて気づいたことはありますか?
1年の濃度は人によって違うということですね。
最初は参加条件を「ライター歴1年以下」にしたんです。なんとなく「1年未満=初心者」だと思っていて。
でも、何度か開催するうちにメンターの間で「1年の濃度って人によって違うよね」という話になったんです。例えば、小さいお子さんがいながらライターに挑戦している方だと、ライティングにかけられる時間は短いですよね。
それで「年数で決めるのはやめよう」となって、自分を初心者だと認識している方なら年数は問わない方針に変更しました。
ーーーたしかにそうですよね。ライティングにいくらでも時間をかけられる人もいれば、副業で土日だけって人もいる。初心者って定義が難しいですね。
そうなんです。自分の感覚で計っちゃダメですね。
ご自身を初心者だと思って勉強会に参加してくださった方でも、しっかり書けている方もいましたし。
ライティングにかけられる時間と同じく、「初心者像」も人それぞれなんだなと感じました。
ライターに発注する側になって
ーーー綾子さんは発注するとき、ライターさんに対してどういう思いで接していますか?
書くことを嫌いになってほしくない、というのは常に念頭に置いています。
基本は頭から否定せず、「ライターさんが頑張って書いてくれた作品」と思う気持ちを忘れずに接するようにしています。
ーーー具体的にどのように気をつけていますか?
ライターさんを傷つけないように気をつけていますね。
例えば「フィードバックをお送りします」って連絡するとき、ただ「対応してください」じゃなくて、「フィードバックの内容を確認してもらって、納得したら対応してね」っていうような一言は添えるように気をつけています。
「納得できない場合や、別の意見があれば教えて欲しい」ともお伝えして。
ライターの意見を聞いてもらえるってうれしいよな
ライターさんの意見のほうが良いと感じればありがたく採用しますし、私が間違っていたと思えば、もちろん謝ります!
一方通行な押し付けにならないように、というのはすごく気をつけていますね。
私が過去にけっこうキツめのディレクターさんで傷ついた経験があるので、なるべくそういう思いをさせたくないっていう思いがありますね。
ーーー自分が傷ついた経験があるから、同じ思いをさせたくないんですね。編集やディレクションは自分に向いていると思いますか?
はい。もともとすごくサポート気質なんです。好きですし、やりがいも感じています。
担当してるライターさんのこと、「かわいいな」と思うし。こういうこと言っちゃうとライターさんに「キモい」って思われるかもしれないんですけど(笑)
そんなライターさんたちとの関係があるから、ディレクション業務はやめられないなと思いますね。
ライターさんと良い関係が築けてるんだなぁ…
ーーー今後も続けていきたいですか?
すごく向いているとは思うし、好きな仕事なので続けていきたいとは思っています。
ただ、ずっとディレクションだけやっていきたいかというと…ちょっと違うんじゃないかなと思い始めています。やっぱりもともとはライターになりたくてこの業界に入ったので。
今は仕事の7割以上がディレクションや編集業務なんです。最近は自分のオリジナルの文章でお金を稼いでいきたいと考えるようになりました。
今は胸を張って「ライターです」と言えるほどライティングができていないので、今後はライティングに重きを置いて、堂々とライターと名乗れるようになりたいなと思っています。
編集後記
未経験からスタートして、次々とライティング以外の仕事をこなすようになった綾子さん。
その秘訣は、自分に関わる人たちやモノに愛を持って接しているからなのだと思いました。
私もテキストの向こう側の人のことをもっと考えよう…!
愛あふれる綾子さんについて、もっと知りたい方はこちらをどうぞ!
成澤綾子さんTwitter:@ayk_031
綾子さんが関わる日本酒コミュニティ:酒小町
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